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パイソンの戯言 -You Can't Judge A Book By The Cover-

THE PYTHONSのブログ。主に『バンド情報』『木寺勝久連載』『吉井浩平の散文』を掲載。『横井幸輔のお言葉』も登場するかも?

Willie King at Bettie's Place(吉井浩平の散文その1)

When the sun goes down, The moon is rising... 

 

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ぎらぎらと、大地を照らした太陽が沈み、

しいんとした夜が町を包む頃。

 

町の外れに小さな灯りが見える。

 

なんだ?

 

木陰から、目を凝らして眺めていると、

 

何処からともなく、

誰とも無しに、

 

その灯りのもとに人が集まりだす。

 

ぞろぞろ、ぞろぞろと、

 

赤や青や黄に、目一杯のお洒落をした大人の男女の姿。

 

やがて自分の存在に気付いた一人の男が近づき、こう言った。

 

やあ、恥ずかしがるんじゃない

今週も色んなことがあったけど、

今夜は俺たちの時間さ

ブギー・タイムの始まり


Willie King at Bettie's Place

Willie King at Bettie's Place

この動画、最高じゃないですか?

 

地元のお客さんが集まる店内の、熱気を帯びた空気感。

 

これ見よがしにステップを決めまくる輩、

柱にもたれ掛かり渡哲也ばりの渋い表情で決めるオッサン、

一人テーブルで酒を楽しむ父ちゃん母ちゃん、

談笑やビリヤードに夢中な人達、

 

みんな、「俺こそが1番さ」と言わんばかり。

 

もちろん、地域に必ず一人はいるような、ひねくり切ったオッサンだってご愛嬌。

 

ここでは、誰もが自分なりの夜を過ごしてる。

 

バンドの弾き出すバック・ビートに合わせて転がる”俺たちの”ブルース。

 

ループされるリフによって支配された時間が徐々にその概念を放棄し、

永遠性が顔を出してくる。

 

アメリカはミシシッピのBettie's Placeという南部のジューク・ジョイントにて。

 

今夜のバンドはWillie Kingの一団。

 

「ほら、お前ら、これ、最高だろ?」てな表情がたまらない。

 

Willie King(1943~2009)

 

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ウィリー・キング。

 

 

ミシシッピに生まれたキングは、「南部の農村部に生まれることの人生における不公平」をテーマにした政治的な歌を書き、歌っています。

 

動画にあるように、主にミシシッピのBettie's Jukeで定期的に活動していたようです。

 

まさに、地元のコミュニティーに根差したブルース・マンと言えるでしょう。

 

B.B.キングの様に大成したミュージシャンの裏には、このようなたくさんのブルースマンがいます。

 

BLUES

現在の黒人は自分たちのルーツを思い出させるブルースを嫌い、今やあまり聴かれていないとよく言われます。

 

実際、動画にあるような画はどんどん絶滅して、

「日本の盆踊りの風景」と同じ様なもので、消えゆく文化なのでしょう。

 

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だけども、現代の黒人文化の中からブルース・ミュージックが完全に消え去ったとしても、

 

この世界からブルースが消え去ったのではありません。

 

優れた文化が大陸、人種を越えていくように、

音楽的に詩的に優れたブルースという音楽は人種を超えていきます。

 

実際、ここ日本でも、表舞台では知られていないけども、素晴らしいブルースを演奏しているミュージシャンが多くいます。

 

ブルースに魅了された人間としては、 まだまだ火種は消したくないと思う。

 

それは、決して懐古趣味ではない。

 

実際に、今、自分の心がブルースによって熱く燃やされているのだから。

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